インタビュー

MSが掴んだ顧客ニーズを反映
医師とMRをつなぐ、連絡・WEB面会ツール『Mydodes(マイドーデス)』

出典:クリニックマガジン2024年9月号(株式会社ドラッグマガジン)

医療・福祉・介護の現場において、労働力人口の減少による過重労働が深刻化しているが、そのような厳しい労働環境の中でも、医療従事者は安全かつ質の高い医療の提供や専門性の向上が求められているため、勤務時間外でも多くの時間を自己研鑽に充てている。コロナ禍では製薬企業のMRに対する医療機関への訪問規制が強化され、リアルでの情報収集機会が失われた。

本年4月からは勤務医師の時間外労働上限規制が始まり、医師は働き方改革を推進しながら効率的な情報収集を行うことが求められている。

以前よりMSがiPadを医療機関へ持ち込んで、リモートで医師をMRにつなぐ活動を進めていたアルフレッサ(株)は、医師と同社MS、製薬企業のMRをつなぎ、医薬品等の情報提供をオンラインで実施できる『Mydodes(マイドーデス)』を開発・リリースし、好評を得ている。

「当社ではリモートで製薬企業のMRにつなぐ活動を行っていましたので、そのノウハウを生かしてオンライン連絡・面会ツール『Mydodes』を開発しました。WEB面会機能のほかにチャット機能もありますので、気軽に情報提供と収集が可能なツールとなっています。」と、アルフレッサ(株)のソリューション&イノベーション事業部は力を込める。

医師は新規利用登録時に、氏名、メールアドレス、勤務先医療機関施設名、施設代表電話番号などの必要項目を入力。利用を開始すると、自動的に担当地域のMRが連絡先候補として表示され、選択したMRへメッセージを送ることができる。WEB面会機能では対面に近い環境を実現し、資料の添付や、リンクから製薬企業コンテンツを提供できるなど、ユーザーのあらゆる要望に対応している。

このようにWEB面会に当たって医師とMRが連絡先を交換する必要はない一方、個人情報も保護され、安全にサービスを利用できる。情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)認証(ISO/IEC27001)を取得し、ホワイトハッカーによるセキュリティー診断を定期的に実施している。

WEB面会の開始方法も分かりやすく使いやすい。画面右側の「WEB面会予定」の一覧から、「WEB面会」をクリックするだけで、パスワード不要でWEB面会画面が立ち上がる(図1)。チャット機能はLINEと同じ感覚で使えるため、使い勝手が良くユーザーの利用頻度は高いという。

図1 WEB面会機能

コミュニケーションツールを超えて医療業界のプラットフォームを目指す

『Mydodes』にはWEB版とアプリ版があり、利用シーンによって活用の幅が広がる。「2021年にリリースを開始したときはブラウザ上で閲覧するWEB版のみでしたが、スマートフォンからの利用も想定して、昨年アプリ版をリリースしました。それにより、iPad、モバイル端末、パソコンから環境を気にせずに『Mydodes』をお使いいただけるようになりました。

登録されている各製薬企業のMRは、リモートディテーリングの経験を積まれた方ばかりですので、医師が『Mydodes』を利用する際は平均20分程度の所要時間で、分かりやすく、かつスムーズに情報提供が受けられます。一方で、診療科や地域によっては対面でのコミュニケーションを求められますので、全てをデジタルに置き換えるのではなく、ご要望に応じて対面とリモートを併用していきます。」との方針だ。

医師や製薬企業の意見を反映した機能強化も随時進めている。本年6月には新たに講演会機能が加わった(図2)。

「『Mydodes』上に、製薬企業からお預かりした講演会情報のチャネルを設け、医師が効率的かつ快適にご利用いただけるよう、一覧表にして掲載しています。講演会の内容や演者、企業名等で検索が可能なため、医師は自身の専門領域や興味のある講演会を視聴することができます。」と説明する。

『Mydodes』の今後の展開として、医療業界のプラットフォームを目指している、と同社は言う。「全製薬企業のMRの登録を目指し、多くの医師に対してMRが『Mydodes』上でコミュニケーションを図れるようになれば、時間的、距離的なコストの節減、MRの生産性向上にもつながります。」と説明。その上で、「現在『Mydodes』では、診療報酬改定、オンライン診療に関する最新情報、薬剤情報などの、医療に関する全般的な情報以外にも、節税対策や資産運用などの情報も入手いただけます。加えて、ご登録いただいたユーザーの趣味趣向に合わせた情報提供や課題解決につながるソリューション・ツールなどもご提供することで、『Mydodes』をユーザーのあらゆる困りごとに対応できる医療における社会課題のソリューション・プラットフォームにしていく構想があります。」と意欲を示す。

『Mydodes』は、薬剤師、臨床検査技師、事務長など、さまざまな職種とも連携できる可能性が見込める。「ご要望は多岐にわたりますので、それぞれのご要望に沿いながら機能強化を確実に進めていきます。われわれの想像を超えたところでいろいろな『Mydodes』の使われ方が模索されているとも感じています。」

図2 講演会機能

アルフレッサの強みを生かしたプロダクト・サービスの開発を進める

同社ではDXの専門チームであるプロモーションサポートグループを新たに立ち上げ、医療現場の困りごとをデジタルで解決する支援をしている。「医療DXの推進を支援していく一方で、当社のMSが医療機関に直接お伺いするような、地域に根差したサポートは今後も変わることなく行っていきます。日々、医師や医療従事者の皆様とお会いする中で、課題やニーズをフェース・ツー・フェースでお聞きし、ご要望に対してダイレクトに響くプロダクト・サービスを自社で開発できることは当社の一番の強みです。」と解説する。

同社はデジタル化に関して、「ラストワンマイル」をさらに短くした、「ラストワンメートル」になることを目指すという。「医療現場に非常に近いところでコミュニケーションがとれて、かつデジタル化の支援までさせていただく。それが当社の新しい役割となり、医療現場における業務負担軽減、医療従事者の活躍の場の拡大などの課題解決につながっていくと思っています。」と展望を語る。

同社は、『Mydodes』などのデジタルツールの提供により、医療DXをサポートする役割を果たしている。顧客に近い同社ならではの強みを生かした次世代のソリューションに今後も注目したい。