「アルフレッサグループのCO₂排出量削減を加速させたい」
~アルフレッサ(株)とエーエル プラス(株)の5拠点にEV45台を導入~
アルフレッサ株式会社コーポレート本部経営管理部の森下さんは、アルフレッサの環境負荷低減に関わる取り組みを統括するCSR主幹部署の責任者で、2024年12月14日に発表したヤマトグループ様の支援を受けて開始したEVの導入やエネルギーマネジメントシステムの導入といったアルフレッサ全体のCO₂削減にチャレンジされています。コーポレート本部経営企画部経営企画グループの生方(うぶかた)さんは、これらの取り組みをサポートし、特にEVの導入やエネルギーマネジメントシステムの導入において、実務的な知見を活かしてプロジェクトを円滑に進める役割を担っています。今回は、森下さんと生方さんの挑戦がどのように進んでいったのか、お話を伺いました。
2019年から始まったヤマトグループ様との協業
ヤマトグループ様とアルフレッサの取り組みは、2019年1月までさかのぼります。当初は環境問題に関わることではなく、今後の医療提供体制への対応や労働力不足等の社会課題への対応を協働で検討するために、ヤマト運輸株式会社様とアルフレッサが「医薬品流通研究会」を立ち上げるというものでした。以降、持続可能な医薬品流通ネットワークの構築に向けた検討を重ねながら協業を進めてきました。
医薬品等を患者様のご自宅までお届けするラストワンマイル配送、ヘルスケア商品の共同配送スキーム構築に向けたビッグデータ・AIを活用した配送業務量予測および適正配車のシステム導入、介護施設における「とろみづけ」の効率化を実現するサブスクリプション型サービスの展開など、多くの成果が出ています。生方さんは、「トロリンパ」のプロジェクトに参加し、とろみ調整食品等のメーカーであるクリニコ様、とろみサーバーメーカーである凰商事様、多様な物流ネットワークと受発注システムをもつヤマト運輸様と連携・調整しスキームの構築を進めるなどの実務を担当し、サービスの実現に貢献した実績を持っています。
2019年1月16日 アルフレッサ株式会社とヤマト運輸株式会社による研究会の立ち上げについて
2019年9月26日 アルフレッサ株式会社とヤマト運輸株式会社による 「調剤薬局向け在宅医療支援サービス」の共同開発について
2020年7月21日 アルフレッサ株式会社とヤマトロジスティクス株式会社による ヘルスケア商品の共同配送スキーム構築に向けた業務提携について
2021年3月3日 スペシャリティ医薬品における患者宅特殊配送サービスのパイロット運用について
2021年8月3日 ビッグデータ・AIを活用した配送業務量予測および適正配車のシステム導入について
2022年3月24日 介護施設における「とろみづけ」の効率化を実現するサブスクリプション型サービス「TRORINPA(トロリンパ)」を4月4日(月)から開始
EV45台の導入とエネルギーマネジメントの試験導入に至るまでの経緯
2022年5月、「22-24 中期経営計画 未来への躍進 ~進化するヘルスケアコンソーシアム®」の説明会にて、アルフレッサ ホールディングスの荒川隆治社長が「カーボンニュートラルに向けた取り組み、資源循環の取り組み、および環境汚染防止、生物との共生を推進し、社会への貢献を行います。2050年度、CO₂排出量実質ゼロに向けて取り組んでいきます」と持続可能な社会への貢献と共に、事業の継続的な成長を目指すことを宣言しました。人々の健康に携わる事業活動を展開する企業グループとして、人々の健康や暮らしに影響を与える地球環境問題を重要課題と認識しています。
アルフレッサ株式会社 コーポレート本部 経営管理部長 森下卓さん
森下さんは、こうしたグループ内の取り組みに向けた姿勢を受け、社内での環境負荷低減に向けた具体的な取り組みを進め、節電や再生エネルギーの導入推進を決意します。再生エネルギー発電による電力利用、エコドライブの徹底、営業車両の減車、EV等の環境に優しい車の導入等の検討・推進が社内で本格化します。そこで生方さんは、EVの導入に携わることになりました。
森下さんと生方さんは当時のことをこう振り返ります。
森下さん「EV導入検討にあたり、ヤマトグループ様が進める『EVライフサイクルサービス』のコンセプトが非常に素晴らしいと感じています。ヤマトグループ様がこれまで自社で培ってこられたEV運用の知見を活用し、ユーザー目線でEV導入等を支援される取り組みは、当社の目指す方向性とも一致していると感じています。これまでのヤマトグループ様との信頼関係もあり、当社のCO₂排出量削減に繋がる取り組みになることを期待しています」
生方さん「これまでのヤマトグループ様との協働プロジェクトはすべて社会課題解決が起点になっています。今回も、同じ思いを持った同志として、やり遂げることができると考えていました」
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写真左から アルフレッサ株式会社 コーポレート本部 経営管理部長 森下 卓さん
アルフレッサ株式会社 コーポレート本部 経営企画部 経営企画グループ 生方 敦之さん
さまざまな分野で協働していたヤマトグループ様とは、温室効果ガス(GHG)排出量とコスト削減を両立した基盤の構築に向け、GHG排出量削減に向けた「量的施策」、および将来的に発生する課題解決に向けた「質的施策」についてご提案をいただいており、ヤマトグループであるヤマトオートワークス株式会社様が提供されている脱炭素化トータル支援サービス「EVライフサイクルサービス」を活用することが決定しました。これはヤマトオートワークス様より、GHG排出量削減策の立案、EV車両調達や充電器の設置、EV運用における効率化(EMS、再エネ供給など)、EV入れ替え・廃棄時まで、トータルでご支援いただけるサービスです。
異なる性格の複数拠点への導入における課題
「EVライフサイクルサービス」の導入のため、私たちは2024年8月から本格的な検討を始めました。当初はGDPガイドライン*の基準に則った品質と安全性の確保がEV車両で実現できるか、地域によって性格の異なる複数の拠点での多数台検証の必要性、工事費の考慮など、課題が山積みでした。
まず、生方さんは、効率的なEV導入に向けて、拠点の現状把握が必要と考え、データ収集に着手します。現地では、当社の子会社であるエーエル プラスの協力も得ながら、各拠点の電気容量や充電器設置可能スペース、ならびに車両の積載効率や利便性を調査しました。
「導入スケジュールにおいて、1月末までの完了を目指す中、限られた時間の中で調整や対応を行うことに非常に苦労しました」、と生方さんは振り返ります。
*GDPガイドライン:2018年12月に厚生労働省令より示された、医薬品の流通過程における品質保証を目的にした基本的な指針
当時を振り返る生方さん
将来的にはグループへの水平展開へ
2024年12月18日から順次導入が始まり、2025年1月末までにアルフレッサの府中事業所で4台、群馬物流センターで10台、京都医薬品センターで3台の合計17台、エーエル プラス府中事業所で12台、京都事業所で16台の合計28台、両社合わせて45台の導入を目指しています。
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アルフレッサ府中事業所に導入したEV
これらのEVのCO₂削減効果について、生方さんは、「走行距離や季節要因の影響もあるとは思いますが、100%内燃車と比べて、3~5割程度のCO₂排出量を削減できる見通しです。グループの目標である2050年カーボンニュートラル達成に向かって、EVで着実にGHGを減らしつつ、今後は再生可能エネルギーとの組み合わせにチャレンジしていきたいと考えています」と話し、今まさにグループ全体でのEV導入の展開に向けた戦略を練っています。森下さんは、将来の展開について「EVの全国の拠点への展開に加えて、再生可能エネルギーの導入も検討していきながら、グループ会社にも水平展開できるよう、機敏かつ柔軟に推進したいと考えています」と力強く語りました。