地域社会の健康・医療プラットフォームの構築に向けて

超高齢化社会における社会保障の持続可能性を高めるため、厚生労働省は医療・介護のみならず、住まい・予防・生活支援が一体的に提供される「地域包括ケアシステム」を、各自治体を主体として地域特性に応じて作り上げていくことを目指しています。
このような環境の変化に合わせ、当社グループは、行政や医療機関をはじめとする地域包括ケアシステムの様々なプレイヤーの「つなぎ役」となって、地域医療を総合的に支える役割への進化を目指しています。

1医薬品流通のインフラから地域医療を総合的に支える役割へ

政府は2025年を目途に地域包括ケアシステムの構築を推進しており、各地域において取り組みが進められています。その中で課題のひとつとなっているのが、今まで別々に機能してきた医療機関、介護施設などをどう連携させるかということです。当社グループは医療用医薬品卸売事業を通じて、地域包括ケアシステムの主要プレイヤーである10万軒を超える医療機関・薬局との関係がすでに構築できており、この強みを活かして地域医療にかかわる医療・介護・在宅・自治体などをつなげる役割を果たしていきたいと考えています。
その準備として、2017年から医療機関を担当するMSに医療経営士の資格を取得させています。医療経営士は医療機関の経営に関する能力を認定する民間資格ですが、こうした知識・能力を身につけることにより、地域包括ケアシステムに対する深い洞察を得ることができると考えています。また2019年1月には、ヤマト運輸株式会社と共同研究会を立ち上げて、今後の医療提供体制の変化を見据え、新たな流通ネットワークのあり方について検討を始めています。医薬品流通のインフラから地域医療を総合的に支える役割への進化を目指し、新たな取り組みを進めています。

※ MS:マーケティング・スペシャリスト

2新たなビジネスモデルの構想

19-21 中期経営計画では、地域包括ケアシステムの完成後を見据えた検討も始めています。地域包括ケアシステムの目指すところは、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう地域で支援していくことです。将来的には、医療分野にとどまらず、保険・住宅・決済など、広範囲な事業者と連携した新たなサービスを立ち上げることも構想しています。5年後、10年後も、地域の健康・生活に深くかかわれる存在を目指し、検討を続けていきます。

3ふじみ野市における地域包括ケアシステムの取り組み

埼玉県ふじみ野市は県南西部に位置する人口約11万人の都市で、地域包括ケアシステムにおいて先進的な取り組みを行っている自治体のひとつです。
同市での地域包括ケアシステムの取り組みや課題についてふじみ野市役所の仲野氏にうかがいました。

ふじみ野市役所
福祉部 高齢福祉課 地域支援係
副課長 兼係長 査察指導員
仲野 公堅 氏

ふじみ野市では2013年頃から取り組み始めましたが、はじめは何をすればよいのかという状態で、大きく前進したのは地域支援事業として「在宅医療・介護連携推進事業」が位置付けられたことがきっかけです。在宅医療は、数ある取り組みの中でも多職種が連携しないと一番難しい分野であり、「地域医療・介護相談窓口」を医師会に設置したことで、今まで関わりがなかった福祉部門と医師会の連携が深まりました。また介護従事者にとって医師との連携は今まで敷居が高かったところがありましたが、両者が参加する多職種研修会を実施することで、当事者たちの意識が変わってきて、顔の見える関係を築けていることを実感しています。
アルフレッサ株式会社と知り合うきっかけになったのは、当課が「認知症推進事業」の目玉として取り組む認知症の啓発活動においてです。同社には、定期的に健康・医療対策の情報交換に来ていただいていましたが、同社が地域貢献の一環として、認知症の啓発・治療活動に力を入れていることを知り、相談を持ちかけました。認知症の啓発冊子の提供、街頭キャンペーンなど、民間企業が持つ情報やノウハウは豊富で、互いにどういったことができるのかを知る良いきっかけになりました。次の取り組みとして、在宅高齢者の残薬や、複数の医療機関に係る多剤投与への対応を考えています。それには、かかりつけ医や薬剤師会との連携やスケールメリットが必要であり、民間企業にはこういったことに対するツールやソリューションがあるのではと期待しています。
地域包括ケアシステムの構築には多職種が連携していくことが重要であり、それには民間企業の力も積極的に活用していかないと進まないと考えています。今後もいろいろな知恵を借りながら、ふじみ野市ならではの「地域包括ケアシステム」の構築に取り組んでいきます。

関連グループ企業

医療用医薬品等卸売事業

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医療関連事業

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